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新型コロナウイルスの検査、その無知と誤解

児玉龍彦教授動画より

新形コロナは各国にロックダウン(鎖国状態)を強要し、グローバル化された世界単一市場を短期間で破壊しました。
各国の経済活動への回帰欲求はまだまだ続くし、鎖国状態から抜けても、近隣の数か国だけで経済圏を作る小規模市場体制になり、米国覇権や世界単一市場が破壊されたままの状態が続くと見るのが大勢です。

今回は先ず、世界と日本のコロナ禍が経済活動へ与える影響を報告し、その上で表題の「新型コロナウイルスの検査、その無知と誤解」について述べます(末尾の動画を参照)。

<IMFが懸念する第2波の影響>

28日現在の全米の感染者数は251万人となり、25日の1日当たりの感染者としては過去最多を記録。米テキサス州のアボット知事は同日、感染者や入院患者の急増を受け、州の段階的な経済再開を一時停止すると表明した。米株式市場も24日にダウ.DJIが770ドル超の下落となるなど、最近の米国における感染拡大に神経質になっている。

世界の感染者数は28日現在1000万人を超え死者50万人に迫っています。

ただ、25日のNY市場や26日の東京市場で株価は堅調。第2波への警戒感は根強いものの、米国はじめ主要国の財政・金融政策の積極的な展開を受け「マーケットは大崩れしない」(外資系証券)との安心感が、市場が「崩落」しないように支える構図を形成している。

それよりも心配なのは、実体経済の動向だ。国際通貨基金(IMF)は24日、世界経済見通しの中で第2波襲来のケースでは、2021年の成長率がプラス0.5%にとどまるとの予想を示した。襲来しない場合はプラス5.4%の成長を見込んでおり、第2波が来るシナリオでは、世界経済に急ブレーキがかかると見ている。

<日本も2年連続マイナス成長のリスク>

潜在成長率が0.5%程度しかない日本は、第2波襲来なら2020年に続いてマイナス成長になる可能性が出てくる。IMF見通しの2020年日本経済はマイナス5.8%。この状況下で21年もマイナス成長になった場合、大企業から中小・零細企業に至るまで、売り上げが損益分岐点を下回る企業が続出しかねない。

[東京 26日 ロイター] – 米国で新型コロナウイルス感染者が急増し、第2波襲来への懸念が高まり始めた。世界的に感染が再拡大すれば、2021年の世界経済も停滞が続き、日本経済にとってもマイナス成長の長期化につながる。652万人の休業者は満水のダムであり、景気悪化の長期化はダムの崩壊リスクを高める。

<東京都が第二波の発生源となる>

 東京都で27日、新型コロナウイルスの感染者57人が新たに確認された。5月25日の緊急事態宣言解除後、最多となった。「東京アラート」を今月11日に解除したが、感染は収まらない。

 都内の感染者数は24日に50日ぶりに50人台となる55人となり、30日も60人と50人以上の数字が続いている。
いずれも緊急事態宣言が全面解除されてから最多となった。解除から25日で1カ月。東京では感染者累計6114人が報告され感染が持続、地方へ波及する事例も散発的に発生している。流行の第2波を回避するには、東京での封じ込めが焦点になりそうだ。

<コロナ禍が経済に与える影響>

グローバリゼーションとインターナルとは違う。国境があるかないか。コロナで移動の自由がなくなる。鎖国と云うより、その場合の金融経済は、決められた領域の中で通用する通貨となる。従って国の借金も無制限に膨張できない。地域の中で成り立つようにするには中央銀行は無制限にQEを続けられない。

新型コロナウイルスの感染が世界に広がる中で、これと軌を一にするように、日本の輸出が急減してる。

昨年の輸出金額は5.6%減少したが、コロナの感染拡大に伴って、今年3月の輸出は前年比11.7%減、4月は21.9%減、そして5月は28.3%減と、パンデミックの影響をまともに受けている。

米国の消費が激減している以上に、鎖国による流通の制限からコロナショックは、経済を米国に依存する従来の体制を維持できなくなる。コロナ終息後もこの傾向は続き、地域経済のウエイトが高くなる傾向は避けられない。

以上、コロナ禍の現状と経済に与える影響に関する情報をピックアップしました。


次に、新型コロナウイルスの第二波に備えるポイントを指摘したいと思います。

検査が重要だと云うことは3ケ月以前からさんざん云われてきました。その中身はPCR検査の能力とその拡大についてでした。

PCR検査の拡大については賛否両論があり、否定派はもっぱら医療崩壊を防ぐにはPCR検査は制限するべきだと主張しました。ところが国際比較をしたところ、日本の検査件数の異常な低さが問題になりました。

4月頃からPCR検査制限論は次第に退潮し、クラスター対策に限って検査を積極的に行うべきだと云う風潮に変化したのです。このため依然として検査数を国際水準に近づける努力は抑えられたままだったのです。

コロナ対策は経済活動復活との関係で迷走する事態に陥り、第二波に備え、正しいデーターに基づいた対策が打てないでいるのです。今では、この原因を徹底分析する必要に迫られています。にも拘らず、これ関して議論が深まらないのは何故でしょう?

それは表題の通り、検査についての無知と誤解が存在し、議論が封殺されていることが原因ではないかと考えます。

ペンス副大統領の次の発言がそれを象徴的に表しております。「感染の急増は若者の検査を拡大したからだ。これはむしろ安心材料で、経済活動を開放するべきだと云う現在の方針を裏付けるものだ」

若者の検査を拡大したのは一つの「政策」であり、この政策が基となって「経済活動活動復活の政策」を生んでいる事実を無視しているのです。

日本に目を移せば、もっと早くから「検査数によって政策判断の基礎数字となる新規感染者数を恣意的にコントロールできること」を学習していたのかも知れません。

しかしながら、第二波に向かって感染源の分からない感染者が増加し、「クラスター対策にかかる検査徹底」だけでは対処できなくなってきたのです。

次の動画が検査種類と感染の実態について分かりやすく解説しておりますので、私がくどくど述べるよりこれを視聴していただけばよく理解できると思います。

コロナ抗体検査から現在わかること. 簡易検査キットは精度に問題あり?【最新】

この動画は抗体検査に重点を置いているため、PCR検査にも数種存在する(RT-PCRなど)ことを説明していない点が気がかりです。しかしこのことは大勢に影響するものではありません。

アメリカの大リーグのプロ野球選手が2日に一回PCR検査を受けていることは、PCR検査の精度に問題があるからではなく、PCR検査の陰性の保証期間が2~3週間の短期間であることが原因だからです。

<追記>
原稿をUPした後で3週間以上待った児玉龍彦&金子勝対談の動画がUpしました。これは、抗体、免疫、コロナの変異、交叉免疫とADE、ワクチンの現実性(変異との関係)、最後に研究者をカネで動かす政治の劣化、遺伝子配列を徹底的に追求する基礎研究の重要性。新型コロナウイルスは巧妙な変異を繰り返し強敵である。変異ごとに重症化の中身が激しくなる。等々とても今回だけで語りつくすことはできません。取り敢えずURLだけ下記します。解説は次回にゆずります。

https://www.youtube.com/watch?v=y6W83Y85zJs

コロナ禍と自然災害、複合災害の脅威

今回は、危機管理の専門家・川口拓氏の提言を二重カッコ内に示し、コロナショックと他の自然災害が重なった場合の「自助・共助・公助」について触れてみたいと思います。
自助無くして共助なし、災害にあって身を守る事が出来なければ他人を救うこともできない、更に生存して初めて公助が受けられる。このような危機管理の基本原則に基づき標題の問題に取り組んでまいります。

先ず、前の投稿でもお伝えしましたが、コロナ禍と経済危機は別物ではなく、正に「前門のオオカミ後門のトラ」なのです。これは時期的にもどちらが先でどちらが後と云う関係ではなく複雑に絡み合って現れる一体の危機なのです。
従ってそれ自体が複合・多重危機と云えるのですが、上記に示した自然災害が重なった場合のことを考えておくことは、避けられない重要課題なのです。

【インフラが失われた都市災害によって破壊された大都市は砂漠でのサバイバル並みに生き延びることが難しい地獄に変わる】

東日本大震災当日、首都圏だけで515万人に及ぶ帰宅難民が発生した事は記憶に残っているでしょう。交通インフラの停止によって水や食料が品切れとなり、避難所は密の状態となりました。

大災害でデマが広がるばかりでなく、【災害後の都市では「人」がリスクになり得るのだ】と川口拓氏は指摘します。
民度が高いと云われる日本でさえ災害時には人心が荒れ、犯罪が発生するのです。ふとしたきっかけで無法状態に入ることがあります。コロナ禍の諸外国にもこんな事例が散見されます。

内閣府の中央防災会議は都市を大災害が襲った場合のリスクを表で示しました。30項目もありその数の多さには驚かされました。

一例を挙げれば、人的被害の項目では、
① 暴徒化
② 性犯罪
③ デマ
が挙げられています。

その他の被害の項目では、⑯ 複合災害が挙げられています。

川口拓氏は【生き延びるためには「想定外を想定せよ」と指摘し、予断や断定を避けなければならない】とアドバイスしておられます。これは先の投稿で述べた「すべての情報は頭から否定するな、そのうえですべての情報は鵜呑みにするな」と云ったことと相通じるのではないかと思った次第です。

更に同氏は危機管理の鉄則として貴重な考え方を教えてくれています。
S top (止まる)
T hink (考える)
O bserve(観察)
P lan(計画)

【これらの危機管理は自然に備わっている力を生かすことで、危機に直面して、体を落ち着かせるのがStopで頭を落ち着かせるのがThink、それがなければ観察や計画は正しくできない。】と教えています。

人が生きるために必要なものは5つあり、空気・シェルター(体温保持)・水・火(光と熱)・食料です。健康な人なら、食料なしでも3週間は生きられます。
従って危機管理では、まず一番に呼吸の確保、次に体温保持、水、火(光と熱)の確保を優先せよ。そのうえで食料の確保だ、との指摘も参考になります。

サバイバルには【ゆっくり動き、ゆっくり考え、慌ててはいけない。そしてサバイバルは日常の生活に近ければ近いほど成功と云える。可能であれば家が最高の避難所だ。】これもコロナ禍での複合災害対策として大いに参考になりました。

前回の投稿ではコロナショック下での株高について触れました。コロナバブルは金融バブルです。日銀が株式の投資信託(ETF)を買い支える官製相場はいつまで続くでしょうか?。

金融の世界はインフレ
産業の世界はデフレ

これが日本に限らず世界のコロナショック下の経済の実態です。これは隠れていた矛盾がコロナで表面化した現象だと云えます。結果としてはコロナショックによってますます格差が拡大し、倒産・失業が頻発します。このことはデフレ要因であることは明白です。私は金融の世界のインフレ(株高)は短命に終わると予測しております。

次回は再び、新型コロナウイルス・Covid-19の今後の動向について書く予定です。